最近この本を読みました。
これは社会派ブロガーのちきりんさんと日本初のプロ格闘ゲーマーの梅原大吾さんが教育問題について語り合う対談本なのですが、すごく面白いのが2人のまるっきり正反対の考え方です。
「人の可能性は1つではない。無理せず自分が力を発揮できる居場所を探そう」というちきりんさんに対し、一方で梅原さんは「本気で好きと思えることなら辛くても手放すべきではない。人はもがき苦しむ中で成長できる」という提言をしています。
え、これどっちも正しくね?
とはいえなんだかんだ僕もギター歴16年。人生の半分以上を音楽と共に生きてきたわけです。
ということで今回は梅原さんサイド、つまり好きなことを続けてきた人という立場でその経験の中からやめずによかったなと思えたことについて書きたいと思います。
続けてよかったこと
今まさに実感してること。
自信がつく
やはり1番のメリットはこれだと思います。
皆さんは1万時間の法則というのをご存知でしょうか。何事も1万時間程度かけて学べばプロレベルの能力が身につくという説で、新しいスキルを身につけるための目安として有名です。
具体的には1日3時間の学習で10年、6時間で5年程度となるため「そんなにかかるのか…」と思う人も多いかと思います。
しかしギターを16年続けてきた僕からしたら「そんなもんでいいんだ」って思えてしまうわけです。
実際僕は専門学校時代には朝の9時から15時まで音楽に関する授業を受け、その後はすぐに練習室に籠もって学校が閉まる22時まで練習するなんて生活をしていたので、卒業する頃にはとっくに1万時間を超えていたと思います。
だからこそなにか他のこと始めたとしてもその分野で稼げるぐらいのレベルまでやりきれる自信がついたし、今なら音楽さえあれば最低限生きてはいけるって思えるので生活への不安とかもだいぶ減りました。
スキルとしてなにか1つでも人に誇れるものがあることはすごい重要だと思います。
1次情報を得られる
最近は何でもコンテンツになりますよね。
コピペで記事が書けてしまうこの世の中で、中でも価値があると言われてるのは1次情報、つまり本人が経験して得た情報です。実際の体験に基づく知見というのが最も信頼され、人の役に立つと言われています。
僕も昔は人前で楽器を演奏する自分の姿なんて到底想像つきませんでした。
舞台袖のひんやりした空気とか、実際にステージに上がるとスポットの逆光で前がよく見えなくて案外緊張しないことがあったりとか、本当にやってみないとわからないようなことばかりで、浅く広くのスタンスでは得られなかった経験ではないかと思います。
こうして集めた情報こそが質の高い発信が生むのであり、結果的にその分野の人として周囲からの信頼されていくのではないかと思います。
長く続けると嫌なこともある
ずっとやっていれば挫折してしまうような出来事も当然起こります。
たとえば僕もオーケストラのコンサートマスターに抜擢された年に練習しすぎて腱鞘炎になり、みんなを引っ張る立場のくせに全然弾けないという絶望で一時的にメンヘラ化しました。
あと1年かけて練習した曲でようやくオーディションに通過し、舞台に出たら気負いすぎて緊張してしまい半分も弾けずに舞台を降りたこともあります。
テンションが谷底まで落ち込んだところに後日回収したアンケートでボロクソにダメ出しされてるのを見て実家のリビングでめっちゃ泣きました。
その時すでにギターを弾く生活が当たり前になりすぎていてやめようなんて発想にすらならなかったのが幸いでしたが、やはり今思い出してもけっこうきつい思い出です。
だからこそ一つのことを続けられる人はすごい
それを考えると高卒で就職し、40年以上経った今でもその会社で働いてる僕の父親はまじですごいなと思います。
本人は「当時は仕事が多かったし、その中で待遇の良いところを選んだだけだよ」とかさらっと言ってましたが、それだけ長く勤めていたら絶対嫌なことも辛いこともあったはずです。
それでもやめずにいたことで周りからの信頼が厚い感じがなんとなくみててわかるし、自分の親ながらかっこいい生き方してるなと思うようになりました。
早く始めよう
最初に挙げたちきりんさんと梅原さんの説、どちらが正解ということもないのですが、共通するのは「時間がかかる」ということだと思います。
自分に合う分野を探して点々としてもそれがいつ見つかるなんて保証はないし、好きなところで勝負をする覚悟をしたのならたくさんの素晴らしい才能たちと戦うために相応のスキルを身につける時間が必要です。
しかしなにかを続けられない人が多数の中、やめずに続けられるということだけでアドバンテージがあるのは確かです。
もし今仕事や趣味としてやっているものがあれば無理のない範囲でできるだけ続けてみることをおすすめします。
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