今度4/28に発表会をやります。初めてステージに立つ方もいるので、発表会の演奏会など目標にむけた練習の計画の立て方とその時のポイントを書いておこうと思います。
ステージまでの練習計画を立てよう
まず大前提として毎日の練習とは別に、ステージに向けて練習する際になにより大事なのは計画性です。演奏の当日をゴールとして、全て逆算していつまでになにができていないといけないっていう計画を立てて進捗を確認しながら動きましょう。
つまり練習のPDCAってやつです。
ちょっとビジネス的な考え方ですが、なんとなく練習して本番が上手くいかず、自信をなくし、音楽が楽しくなくなってしまうという最悪の事態をできる限り予防するのが音楽講師の務め。
各自でこれが回せるようテンプレートを示しておこうと思って書きました。
今回余裕をもった設定ですが、3ヶ月前から動き出すシュミレーションをしてみました。曲数とか条件によって全然変わってくるとは思いますが、それぞれに合わせてうまくアレンジしてみてください。
3か月前:曲を決める
ここめっちゃ大事です。選ぶ際のポイントですが大きく2つあります。
①既存の楽譜があるかどうかを確認する
なければアレンジが必要になります。曲の規模によりますが、アレンジって結構時間がかかるんですよね。僕の場合3分程度の曲でも平均5~6時間はかかってると思います。しかも作っても納得いくものができず、選曲そのものをやりなおす可能性があることも考えなくてはいけません。正直なところ作編曲はプロに依頼するのがクオリティ面でも一番安心なんですが、1曲数万円かかったりするのでけっこうしんどい。ということでやはりなるべく楽譜があるものを選ぶのが一番です。
②当日までに仕上げられる難易度の曲にする
初めてステージに出す曲は簡単でも緊張したりして本番で実力がきちんと発揮できなかったりするので余裕をみておかないといけません。自分がそもそも弾きたいもの、聴いた人が喜んでくれるものの中から選ぶのはもちろんですが、欲張って弾ききれなければ元も子もありません。詳しくは次に書きますが、1ヶ月程度でゆっくりでも最後まで弾ける曲を選ぶのがいいと思います。
Point
一事が万事というように、お客さんには頑張って日頃練習する姿ではなくステージでの演奏しか見えていません。チャレンジして頑張ればなんでもいいとはせず、せっかく来てくれた人がある程度安心して聴ける演奏を目指して、選曲から計画的に準備しましょう。
2ヶ月前:通して弾けるようにする
曲が決まったらさっそく練習をはじめましょう。練習方法はたくさんありますが僕が大切にしているのは大きく分けて2つ。
①テンポをめちゃくちゃ下げて練習する
最初は半分ぐらいまでぐっと落としちゃいましょう。ゆっくりでじれったくても止まらず通せるテンポで練習します。そこからじわじわ早くしていくのがおすすめです。
まずは口に出して歌ってみたり、憧れの演奏を聴きながら理想のテンポをメトロノームの数字できちんと把握するようにしましょう。そしてそれを半分程度までテンポを落として練習します。
たとえばその理想のテンポがBPM80だとするとまずは最初40に設定します。2週目は50、3週目は60、4週目は70と毎週の目標を決めて少しずつテンポをあげます。通して弾けるようになるまでテンポは上げずに何度も練習します。1週間ごとなど細かい目標を設定し、翌月頭には目標の80で弾けるようじわじわ理想を目指します。
②抜き出し練習をする
通し練習をする中で、技術的にどうしてもまだ弾けない部分が出てくるかと思います。そしたらその部分を抜き出してもう一度テンポを下げ、弾けるまで何度も練習しましょう。前後のつながりも含め、短めのフレーズでひたすら練習あるのみ。メトロノームは弾けない部分を洗い出したり、上達を具体的に数字で把握するというのがうまい使い方だと思います。
Point
どうしても難しい曲で2ヶ月前までに通しで弾けない場合は音符を減らしたり、運指を変えたり工夫が必要です。もっと言えば誰かに共演を頼んだり、曲の一部をカットするなども考えないといけません。ここまで来るとそもそも選曲を間違えてたのではという感じもしますが、基本的にステージの出演キャンセルは大罪なのでなんとかして形としてまとめることを優先させましょう。
1か月前:暗譜する
当日譜面を出すにしろ暗譜を目指して練習しておきましょう。楽譜を見てないと弾けないというレベルではなかなか音楽の内容に集中できないので、ある程度は頭の中に入れておくことが必要だと思います。僕は一口に暗譜と言っても3種類の暗譜方法があると思っています。
①指の暗譜
何度も弾いているうちになんとなく指が覚えてくるといういつものやつ。とにかく繰り返し練習して、ぼーっとテレビ見ながらでも弾けるぐらいまで指に覚え込ましちゃいましょう。
②目の暗譜
見た目や形で覚える方法です。
ギターを構えて、楽譜を見ず、曲を聴きながら最後まで左手の形を頭に思い浮かべられたらOKです。意外と楽器を構えていれば弾ける曲も意外と頭の中だとどうやって指を動かしてたかどうか思い出せなかったりするんですよね。ぜひ一度試してみて下さい。
③音の暗譜
メロディーやベースラインだけ抜き出して音階(ドレミ)で歌えるようにします。これも実はメロディーすらできないって人が多いんじゃないかと思いますよ。
Point
基本みなさん①だけだと思いますが、僕の経験上これだけじゃだめです。本番の緊張の中では一つのミスで頭が真っ白になり、次が出てこないなんてことがよく起こります。その時の為に指が迷っても目が覚えてる、それも忘れたら音階で思いだすみたいに記憶の層をいくつも作っておくとすごく安心して演奏に集中できます。
2週間前:人前で弾く練習
なるべく家族とか友達に聴いてもらう機会を作りましょう。
なるべく本番に近い環境をつくるのが大事なので「ちょっときいて~」って感じじゃなくてきちんと目の前に座って聴いてもらいましょう。衣装着てやるのもいいかもしれません。
リハーサルはうまく弾くことを優先するのではなく緊張したらここが弾けなくなるからよく練習しておこうとか、演奏が早くなりやすいからゆっくりめに弾こうとかとか最後の戦略を考えるための準備です。大事なのはイメージです。
Point
誰かVRとかでステージとお客さんを映してくれるソフトを作ってください。
直前
あとは弦の交換。衣装の準備。爪の手入れ。楽譜の整理。体調管理。もろもろして当日を迎えましょう。細かいことは先に済ませて残った時間でできる限り悪あがきするのが◎。
Point
弦交換のタイミングが直前すぎるとチューニングが安定しないので慣れないうちは早めに済ませておきましょう。
当日
当日僕が気をつけているのはこの3つです。
①いつもどおりの基礎練習もやる
本番前は慌てて曲ばかり練習しがちですが、舞台袖が寒かったり緊張して指先が冷え実力が発揮できないことがあります。きちんとウォーミングアップをして指を温める時間を作りましょう。
②タイムスケジュールを事前に見ておく
当日はバタバタしがちです。楽屋には何分前に入るとか、衣装に着替えるタイミングとか舞台袖に待機する順番とか諸々を事前に確認しておきましょう。この辺が適当だと、忙しく過ごしているうちに練習時間が全然取れなかったとかなるので当日の流れを一通りシュミレーションしておくのはすごい大事です。
③本番が終わるまでは演奏に集中する
真面目な人ほどスタッフさんや共演者などに挨拶して回ったり、いろんなことに気を遣いがちですがその辺は演奏が終わったあとか早い段階で済ませておきましょう。一日の中で挨拶したりするタイミングはたくさんあります。あれこれ気にしてるうちに集中力が切れないようにまずは演奏だけに専念しましょう。
Point
見に来てくれる人にも前日に場所や時間を改めて確認しておいたり、お礼を伝えておくとよりいいかもしれません。
まとめ
練習計画の立て方とその中で僕が気をつけてるポイントを書いてみました。
実際は曲数が多かったり、複数の会に参加するため時期がかぶったりいろんなことが起こるので所詮一つのテンプレートでしかないんですが、なんとなく練習して頑張るよりも逆算して計画を立て、途中経過をシュミレーションと照らし合わせながら進めていくことで失敗が減らせると思います。
全ては悔いのない演奏をするため。
夏休みの宿題を8月末に慌ててやるタイプの方はぜひ参考にしてもらえたらと思います。