スカイプやラインを使ったオンラインレッスンは非常に便利ですが、機械が苦手でなにを準備したらいいのかわからないという方もいらっしゃると思います。
そのため今回は
- オンラインでレッスンを受けるのに必要なもの
- それぞれの役割
- 安価で質の高いおすすめ機材
などについて書いていきたいと思います。これからオンラインレッスンを受けてみようという方の参考になれば幸いです。
オンラインレッスンを受けるのに必要なもの
ウェブカメラ
自分の姿を映し、相手に見てもらうために必要です。パソコンやタブレットには大抵最初からついていますが、外付けの製品の方が断然きれいなのでできるだけ用意しましょう。
選ぶ基準は
- 画面解像度
- フレームレート
- F値
の3つを見るといいでしょう。以下でそれぞれを簡単に説明します。
画面解像度
これは画素数のことでいくつのドットでその画面を描いているかを数値化しています。
画面解像度が高いほど情報量が多く、鮮明な映像になります。画素数でいうところの200万前後、いわゆるフルHD(1980×1080)ぐらいがあれば紙に書いた文字などもきれいに映すことができます。
フレームレート(fps)
次にフレームレートですが、これは映像の滑らかさを表しており、1秒間あたりに何枚の画像を繋いで映像にしているのかという意味になります。
15fps,30fps,60fpsなどのものが多いですが30fpsぐらいあれば十分滑らかです。
F値
F値はレンズの絞りを表し、映像の明るさを決める重要なポイントです。
値が小さいほど光を取り込む量が多く、明るい映像になります。もし室内が暗いようであれば、F値が低いものを選ぶようにしましょう。
マイク
自分の音をパソコンに入力し、相手に届けるために必要です。こちらを選ぶポイントは主にこの4つです。
- 種類
- 接続方式
- 音質やノイズの量
- 指向性
種類
マイクは大きく分けてダイナミックマイクとコンデンサーマイクの2種類があります。
細かい仕組みについては省きますが、大まかに特徴を書くと
- ダイナミックマイク:電源が不要で壊れにくいが、音を拾う感度が低い
- コンデンサーマイク:電源が必要で衝撃や湿気に弱いが、感度が高く繊細な音
という感じです。価格もコンデンサーマイクの方が比較的高価なものが多いです。
しかし楽器を弾く人にとっては音質が命ですから、よりクリアに収音できるコンデンサーマイクがおすすめです。
接続方式
マイクによって接続できる端子が異なります。
3.5mmミニプラグやXLR端子、USBなどがありますがお使いのパソコンやタブレットで接続可能な入力端子に合うものを選びましょう。
音質
音質は人によって好みが分かれるため一概にこれということはできません。
しかし共通で意識しないといけないのはノイズの量です。
音を拾っていなくてもホワイトノイズというサーっというような雑音が聴こえることがありますが、これが強いと聴きとりにくく、疲れてしまいます。
そしてその中にはマイク自体が発生させるセルフノイズというものが含まれており、この値が低いものを選ぶことで抑えることができます。マイクのスペック表では等価雑音レベルという項目に記載されており、一般的には15 dB(A)以下であれば優秀なマイクと言われています。
しかしノイズの原因は多様で、接続する他の機材からも影響を受けるため、良いマイクさえ使えばノイズがなくなるということではありません。
指向性
マイクがどの方向の音を拾うのかというのを指向性といいます。
- 無指向性:周囲全体の音をまんべんなく拾う。
- 双指向性:マイクの前後の音をよく拾い、インタビューなどに使われる。
- 単一指向性:正面の音だけを重点的に拾う。
オンラインレッスンや録音などでは基本的に周りの環境音が入りにくい単一指向性のものをおすすめしています。またマイクによっては自分で指向性を切り替え、幅広く用途で使えるものもあります。
ヘッドホン
オンラインレッスンでスピーカーを使うとそこから出た音を自分のマイクが拾ってしまい、音が回ってしまいます。それを防ぎ、相手の音や声を正しく聴くためにはヘッドホンも用意しましょう。
- 音質
- イヤーパッドのタイプ
- インピーダンス
- その他の機能
音質
ヘッドホンは主にリスニング用かモニター用で2タイプに分かれます。
- リスニング用:味付けされた音、聴きごたえ重視で迫力を楽しめる。
- モニター用:原音に忠実、解像度が高く細かい音も聴き取りやすい。
レッスンでは正しく音を聴きとれるようモニター寄りのヘッドホンがおすすめです。
イヤーパッドのタイプ
ヘッドホンのイヤーパッドには密閉型と開放型があります。
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密閉型の特徴
- 音漏れしにくい
- 没入感がある
- 蒸れやすい
- 音がこもりやすい
- 屋外向け
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開放型の特徴
- 音漏れする
- 周囲の音も聴こえてくる
- 軽く、圧迫感がない
- 音場が広く奥行きのある音を楽しめる
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静かな屋内で使う前提であればつけ心地が良く、疲れにくい開放型が断然おすすめです。
しかし音は周囲にもはっきりと聴こえるため電車やカフェなどの公共の場ではまず使えません。屋外で使うことも考えている方は密閉型にしましょう。
インピーダンス
注意しないといけないのがインピーダンス(抵抗値)です。これが高いと電気抵抗が強いためノイズが少なく済みますが、その分再生音量が小さくなってしまいます。
そのためモニター用や業務用など、高性能のヘッドホンは音圧を増幅するヘッドホンアンプを使う前提で設計されているものも多く、それらをスマホなどに直挿ししても音が小さすぎて使えないなんてことになりかねません。
音圧感度にもよりますが、アンプを使わないのであれば50Ω以内のものがいいかと思います。
オーディオインターフェース
マイクで拾ったアナログな音をパソコン上で扱えるようデジタルな信号に変換するための機材です。この作業は最低限であればパソコン自体でもできるのですが、専用のオーディオインターフェースを使うことで
- 音質の向上
- レイテンシー(相手に届くまでの時差)の改善
- ファンタム電源の使用
- マイクやヘッドホンの音量を一括管理
- パソコンの負担も減るため動作が軽くなる
などができるようになります。必須ではありませんが、あれば確実に便利といえる機材です。
ちなみに、上で書いたコンデンサーマイクはダイナミックマイクに比べ音質がいいのですが、ファンタム電源という環境が必要であり、この手のオーディオインターフェースやステレオミキサーがないと使うことができません。
今後のマイクの選択肢を広げるためにも予算があればぜひ手に入れましょう。
手軽に始めたい方へのおすすめ
とりあえずスタートしたい方向けのセットがこちら。総額1万円ちょっとで全て揃いますがそれなりにきれいに映るし音も聴けるレベルかと思います。
LOGICOOL C615
5000円前後で購入でき、フルHD対応。安くてそれなりにきれいに映るのでコストパフォーマンスは高いと思います。
- ミニ三脚などに立てられるねじ穴つき
- 向きを上下左右に動かせて便利
- フルHDだと15fps前後で若干カクつく
画面の淵に引っ掛けるだけでなく、ねじ穴も付いているためミニ三脚などに固定して使うことができます。
SONY PCV80U
昔ながらの定番PCマイクがこちら。3000円台で買えるのでとりあえず始めたいという方には必要十分かと思います。
- USB接続のコンデンサーマイク
- オーディオボックス付きなのでそのまま使える
- 単一指向性
- スタンドも付属
audio-technica ATH-M20x
国産メーカーであるオーディオテクニカの密閉型ヘッドホン。モニター用にしては安く手に入るのでこのぐらいからはじめるといいかも。
そこそこのもので長く楽しみたい方
それなりのものを使って長く楽しみたいという方にお勧めなのがこちら。
総額4万円ちょっとで揃います。このぐらいになるとレッスンのみならず、普段の音楽鑑賞や通話の質もぐんとあがり、質の高い充実した環境となります。
LOGICOOL C920R
上記のグレードアップ版。
こちらはフルHDでも30fpsでいけるのでだいぶ滑らかな映像となります。エレキの速弾きなどを学びたければ素早い指の動きにも反応できるこちらが便利です。
Blue Microphones Yeti
USBでパソコンに直差しできるコンデンサーマイク。値段の割に質がものすごい高いのでYouTuberなど動画配信をしてる人を中心に人気があります。
- ノイズがかなり少ない
- 感度高く、離れた位置でも音を拾う
- 指向性が4パターンで切り替え可
- イヤホン端子がついており、自分の音声をモニターできる
- プリアンプ代わりとして再生した音楽の音質も上がる
- デザインがおしゃれ
サイズは大きめですが、オーディオインターフェースを使わないのであればベストなマイクだと思います。
SENNHEISER HD25
こちらのHD25は30年近い歴史を持つ密閉型ヘッドホンで、モニター用途としてDJやテレビ撮影の現場などでも利用されています。
- 高解像度のサウンド
- シンプルなデザインで丈夫な作り
- 回転式イヤーピースで片側だけの使用が可能
- ヘッドバンドが2分割になりどんな頭にもフィットする
- 側圧が強め
分離が良く力強い音を楽しめるのでリスニング用としても人気があります。ロックやメタルを聴く人にはぜひ試して頂きたいヘッドホンです。
せっかくならきちんと環境を揃えたいという方
オンラインで音楽を楽しむ環境を本格的に揃えていきたいという方向けのおすすめ機材です。
オーディオインターフェースを使用するためDTMやレコーディング、ネット配信などにも対応します。
logicool BRIO
おそらく国内のWebカメラでは最上位の機種になるかと思います。
- 4KやフルHD60pが撮れる
- 5倍ズームできる
- Windows Hello対応で顔認証が使える
画質はこれが最高レベルかと思いますが、動作が重くならないようPCやタブレットのスペックに注意しましょう。
BEHRINGER B-1
ドイツの音響メーカーであるベリンガーのコンデンサーマイク。価格の割にノイズが少なく、コストパフォーマンスはかなり高いです。
- 1万円前後で買える
- ホワイトノイズがかなり少ない
- 単一指向性で環境音を拾いにくい
ただしコンデンサーマイクは性能が高い分、ファンタム電源といってケーブルを通じて電力を供給必要があります。そのためオーディオインターフェースやミキサー、プリアンプなどに繋げる必要があります。
SONY MDR-CD900ST
音楽業界で標準機材として各地のスタジオで使われているヘッドホンがこちら。とにかく原音に忠実でそのままの音を伝えてくれるため楽器の練習にはもってこいだと思います。
- とにかく音の解像度が高い
- ステレオ標準プラグ搭載
リスニングではなくモニター用としてはまず間違いないやつです。
YAMAHA AG06
コンパクトながら多機能で音楽編集ソフトまでついてきてしまうというオンライン環境で楽器をやる人にとって必要な全てがつまったインターフェース。
- ファンタム電源でコンデンサーマイクが使える
- PC上の音を出力するループバック機能付き
- 一発でリバーブなどをかけれるエフェクトボタン
- アンプシュミレーターつき
- DAWソフトのCubase AIが付属
ミキサー兼オーディオインターフェースという感じで、音の入出力をまとめて管理できるので音楽やる人だったら絶対あったほうがいい機材の1つ。
まとめ
PC周りで使える音楽関係の機材について最低限の知識とおすすめをまとめてみました。
ひとまず始めてみるには1万円もあれば十分ですが、より良いものを手に入れると学習効率が上がり、より楽しくなってくるので1つずつ計画的にグレードアップしていきましょう。
機械は苦手という方も多いかと思いますが、使っていくうちに自然と慣れていくので安心してください。ご不明な点があればお問い合わせいただければわかる範囲でアドバイスさせていただきます。
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