みなさんは楽譜をきちんと読めますでしょうか。私が担当している生徒さんにもなんとなく苦手意識があって避けてきたという方が多くいらっしゃいます。
しかし、読譜は1度できるなれば一生使えるスキルですし、身の回りにあふれる音楽をより楽しむことができるようになります。
ということで今回は
- 五線譜とは
- 基本的な楽譜の読み方
- 音楽記号の意味
について解説していきたいと思います。ここで少しでも覚えて今後の音楽活動に活かしていただければ幸いです。
五線譜について
楽譜とは本来、音を可視化し、誰もが同じように演奏できるよう考えられたものです。
これがなければ、作られた音楽は作曲者本人の口からしか伝わらず、正しい形で現代に残ることもありません。これを音符や指示記号でというもので記録することで、何百年も前の音楽ですら楽しむことができるというのは本当にすごいことです。
太古の楽譜は数字や文字で書かれているなど非常にわかりにくいものでしたが、時代の流れとともにそれらも進化し、現代ではその集大成として「五線譜」が用いられるようになりました。
これは5本の線からなる楽譜で、あらゆる音楽を記録することができる非常に優れた記譜法です。学校の音楽の授業とかで1度は見たことありますよね。
今回は五線譜のなかで書かれているそれぞれの音符や記号の意味について1つずつ見ていきたいと思います。
音名
音名というのはドレミのことであり、音の高さを表します。まずはこれを楽譜から読み取れるようにしていきましょう。
五線譜にドレミを並べてみました。
これをよく見ると、線の上と線の間に1つずつ音符が配置されていますね。上にいくほど音が高くなり、下にいくほど音が低くなっています。
今回は8音(1オクターブ)のみですが、実際は上下に音が続き、はみ出た部分に対しては最初のドのように加線をつけて続けていきます
ト音記号
また一番左に書いて書いてある記号のことをト音記号と言います。
ここでいうトというのはドレミで言うソのことであり、音階を日本語で変換したものです。
ドレミファソラシドは実はイタリア語で、英語と日本語でも言いかえることができます。
これに関しては楽典と呼ばれる知識に含まれるので詳しくは今後別の記事で解説したいと思います。
イタリア語 | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
英語 | C | D | E | F | G | A | B | C |
日本語 | ハ | ニ | ホ | ヘ | ト | イ | ロ | ハ |
つまりこの記号の書き始めとなる第2線の上がト(ソ)の音であることを示しています。
また、ト音記号以外にもヘ音記号というのもあるのですがギターやウクレレではあまり使いませんのでここでは省略させていただきます。
その他のポイント
- 5本の線は下から第1線・第2線・第3線・第4線・第5線と呼ぶ
- 各線の間は下から第1間、第2間、第3間、第4間と呼ぶ
- 五線の上下には加線が順次つく(ex:最初のド)
あたりはぜひ覚えておきましょう。
小節
つぎに小節についてお話したいと思います。小節とは楽譜におけるこまかい区切りのことで、それぞれ小節線で区切られています。
また小節線にも種類があり、複縦線は場面の切り替え、終止線は曲の終わりに使われます。
小節の長さは後述の拍子記号によって変化します。
音符の種類
次は音符の種類についてみてみましょう。
先程書いたように楽譜では五線上のどこに音符があるのかということにより音の高さを表しています。そしてその音の高さと同じぐらい重要なのが音符の長さです。音符に種類があり、それぞれが保持する拍数のことを音価と呼びます。
楽譜上ではその他にもいろんな記号が書いてはありますが、ひとまず音符の高さと長さ、この2つが読み取れることが最も重要です。
代表的な音符の種類と音価をまとめました。
さらに細かくなると32分音符や64分音符がありますがここでは割愛しています。
付点音符
そして次は付点音符です。
このように横に点がついた音符のことを付点音符といいます。こちらは4分音符に付点がついているので付点4分音符と呼びます。
付点がついた音符は元の音符の1.5倍の長さになります。
付点4分音符→1拍×1.5=1.5拍
付点8分音符→0.5拍×1.5=0.75拍
付点16分音符→0.25拍×1.5=0.375拍…
少しややこしいですが長さが1.5倍になるとだけ覚えておけば大丈夫です。よく1/2拍など分数であらわしているものもありますが、小数を使ったほうが理解しやすいと思います。
拍子
続いて拍子についてです。
よく4/4拍子なんて言葉を聞くと思いますが、これがどういう意味か聞いてもはっきり答えられる人はあまり多くありません。みなさんはいかがでしょうか。
これは簡単に言うと、この曲が1小節あたりに4分音符が4つ入る音楽だということです。分母が1小節に入る音符の種類、分子が音符の数を表しています。
前述の通り、4分音符の音価は1拍ですので4/4拍子の曲では1小節が4拍分の長さになります。
とはいえもちろん4分音符しか入らないわけではなく、8分音符や16分音符、休符などあらゆる音符が入りますので気をつけてください。
速度記号
よく楽譜の最初に♩=120とか書いてあることがあります。
この数字のことをBPM(Beats Per Minute)といって1分間に何拍入るテンポの曲なのかということを表しています。つまり♩=120では1分で4分音符が120回鳴るテンポであり、数字が大きいほど早く小さいほど遅いということになります。メトロノームに書いてある数字が示しているのもこのBPMです。
また、数字でなくイタリア語で書いていることもあります。代表的なものは以下の通り。
こちらは感覚的な表現で幅があるため曲のイメージをつかむのによく使われます。
リピート記号
同じ部分を繰り返し弾く場合には繰り返しの記号が使われます。
これにより楽譜の枚数が少なくて済みますが、いくつか種類があり併用もさせるため、理解できていないと演奏中にどこを弾いているのかわからなくなってしまう可能性があります。しっかり覚えておきましょう。
縦線型のリピート記号
下の画像の終わりにあるように小節線に2つの点がついているのが最も使われるリピート記号です。
反対側に同じ記号がなければ最初に戻るのが約束で、こちらの場合、A→B→C→D→A→B→C→Dの順で演奏します。
またこのようにこのリピート記号で特定の小節が囲われているときにはその中だけを繰り返します。この場合A→B→C→D→C→Dの順で演奏します。
カッコのついたリピート記号
小節の上に数字をカッコで囲ったものをつけることがあります。
1度1カッコの終わりまで弾いたあと、繰り返しに従って最初に戻り2度目は1カッコの手前で2カッコへ進みます。この場合A→B→C→A→B→Dの順で演奏します。
D.C. / D.S. / Coda / Fine
そのほか、文字で表すタイプの繰り返し記号です。
D.C.はダ・カーポと読み、曲の最初に戻るという意味です。戻った後はFine(フィーネ)まで演奏して終わります。
この場合A→B→C→D→A→Bの順で演奏します。
D.S.(ダルセーニョ)はセーニョに戻るという意味です。
2小節目の頭についている風車のようなマークがセーニョです。そしてD.C.の時と同様に繰り返したあとはFineまで演奏して終わります。
この場合A→B→C→D→B→Cの順で演奏します。
To Coda(トゥ・コーダ)は特定の場所からコーダへジャンプするという意味です。
2段目最初の小節の上についているのがコーダです。
D.C.で1度最初に戻ったあと2小節目まで進んだら、To Codaによって下段1小節目のCodaへとジャンプします。
この場合A→B→C→D→A→B→E→F→G→Hの順で演奏します。
以上がよく使われるリピート記号です。最初はややこしく感じるかと思いますが、指などでなぞりながら順々に追っていけばきっと理解できると思います。慣れるまで楽譜を眺めながら曲を聴いたりするのがおすすめです。
終わりに
楽譜を読む上で必要な基本知識について触れてみました。
まだこれを読んだ段階ではピンと来ない方もいるかもしれませんが、楽譜を読む力というのは意味を頭で覚えるのではなく、たくさん楽譜を眺めて慣れてしまうことのほうが大切です。なぜなら音楽は時間ともに流れていく芸術であり、演奏中に音符を数えたりしている暇はないからです。
僕も楽譜が苦手だった頃はいつでもバッグに曲集を1冊いれておき、通学中などに音符を見てすばやく音名を思い浮かべる練習をすることで克服しました。
また、もう一点付け加えるなら練習中の楽譜にカタカナで音名を書くのはおすすめしません。初めて書くときはいいとしても2回目以降はカタカナを見てしまい音符を読み解く力が身につかないからです。
音符1つ1つを読む習慣を地道につけるしかありません。つまりは気合です、一緒に頑張りましょう。