手が小さくてギターが弾けないと悩む前に知っておきたい5つのこと

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「ギターを弾いてみたいけど手が小さい、指が短いから自分には無理だろう」という思っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、安心してください。私は講師として10年間、およそ300名以上の方のレッスンを担当してきましたが、ほとんどの方が手の大きさに関係なく好きな曲を弾いて自由に音楽を楽しめるようになっています。

そもそも、ギターはフレットという仕切りで押さえる位置が分けられているのですが、その4つ分を人差し指~小指の4本でそれぞれ押さえて弾くのが基本となります。そして、その4つさえ届けばあとは左手全体をずらしていくだけ。大抵の曲は弾けてしまうはずです。

ただそれにはもちろん例外もあって、4フレット以上に指を広げたり、運指を変える必要が出てくる場合もあります。そのため今回は、

  • どのぐらいの手の大きさがあればギターが弾けるのか
  • どうしても届かない場合はどうするべきか
  • 指を開く方法は?

など具体的な解決策について書いていきたいと思います。この記事が手の大きさを理由にギターにチャレンジするか迷うみなさんの背中を押すきっかけになれば幸いです。

目次

上達のサイクルを作るプロのレッスン

さわの Guitar Lab.のレッスンで正しい練習法やテクニックを学びましょう。ちょっとしたことでも気軽にご相談ください。

① 日本人の手の大きさはどのぐらい?

まずは自分の手がギターに向いてないという思い込みを捨てましょう。そのためには日本人の手がどのぐらいのサイズなのか知っておく必要があります。

なお、手の大きさは以下の2つの方法で測ります。

指長各指の先端から付け根のしわまで
手長一番長い指の先端から手首のしわまで

ではこれらの平均値を見てみましょう。以下のデータは2004年~2011年行った調査の結果に基づいたものです。

被験者:男性327名 女性203名 (18-64歳 計530名)

a:手長の平均値

男性女性男女平均
手長(mm)183.4169.3178.0
デジタルヒューマン工学研究センター公開データより

b:指長の平均値

指長男性女性男女平均
親指60.856.059.0
人差し指71.366.569.5
中指79.574.177.4
薬指74.569.272.5
小指59.054.557.3
デジタルヒューマン工学研究センター公開データより

いかがでしょうか。

こちらをみて「自分では小さいと思っていたが実際は平均ぐらいだった」とか、「今まで気にせずギターを弾いてたけど、人より小さい手で何とかできてたということに初めて気づいた」なんて方もいるかもしれません。

ここでもしあなたが平均より小さかったとしても気にする必要はありません。ギターは奥の深い楽器。技術と知識でいくらでもカバーできます。

② ギターを弾くのに必要な手の大きさ

次に実際ギターを弾く上ではどのぐらいの手の大きさが必要なのか見ていきましょう。そのためにはギターのポジションという考え方を理解しておく必要があります。

(1) ポジションとは

ポジションとは左手がどこを押さえているかを表す言葉で、人差し指の位置を基準に考えます。つまり、人差し指が3フレットにあれば3ポジション、5フレットなら5ポジションというだけ。とても簡単です。

そして、それ以降のフレットは中指以下がそれぞれ担当します。例えば3ポジションの場合、

3F4F5F6F
人差し指中指薬指小指

となります。

もしこのとき、5フレットを中指で押さえてしまったりすると、無理に指を開くだけでなく、その先で指が余ってしまいます。このポジションが崩れないよう運指を決めていきましょう。

(2) 4フレット以上にわたるフレーズを弾く場合

どうしても4フレットで収まらないフレーズが出てきた場合には、以下の3つ選択肢があります。

a:あまり実用的ではない運指

五線上の数字:1=人差し指 2=中指 3=薬指 4=小指

頑張れば届くかもしれませんが、無理に指を伸ばすとミスの原因になります。できるだけ避けたい運指です。

b:ポジション移動をする場合

途中で左手を移動させ、2つのポジションを使います。

最初の2音は7ポジション、その後中指を10フレットにずらし、9ポジションに移動しています。指は自然な形になりますが、早いフレーズの場合、途中で移動すると音が途切れやすく多少難易度が上がります。

c:異弦同音をつかう場合

他の弦を使うことで1つのポジションで弾ききります。

ポジション以上の範囲を押さえることもなく、かつ移動もない理想的な運指です。このようにドレミの位置さえ覚えていれば、自分が弾きやすい運指に変えることもできます。

(3) 一番広い1ポジションはおよそ10cm

なお、どこのポジションでも同じ幅なのかというとそうではありません。

ギターは弦の長さが半分になると音程が1オクターブ高くなるという性質に基づき、フレットの位置が決められています。そのためローポジションの方が幅が広く、ハイポジションが狭いという構造になっています。

つまり一番広く、押さえにくいのが1ポジション。逆にここさえ届けば他も問題ないはずです。

そして、平均的な弦長650mmギターの場合、その両端である1‐4フレットの幅はおよそ10cm。

これだけ指が開けば人より手が小さかろうとギターを弾く分には十分です。ぜひ定規を当てて測ってみてください。

③ 指の開き方と左手の技術

もし10cm以上指が開かなかったとしても安心してください。まだまだ方法はあります。

(1) 一番大きく開く指の形

そもそも人の指は先ほどのように真横には広がりにくい構造になっています。押さえる分にはバランスが良いものの、これでは1ポジションはぎりぎりという方が多いでしょう。

そんな時指を縦に使ってみましょう。

このように縦に使うとかなり大きく開くことができます。フォームとしてはまっすぐな形を基本にしつつも、必要に応じて使い分けることでさまざまな場面を乗り切れるはずです。

(2) ギターを高めに構える

それから全体的なフォームを見直すことでも左手のテクニックは変わります。構えには人それぞれこだわりがある部分ですが、指が届きにくい場合はネックの高めに構えてみましょう。

a:低めに構えた場合

b:高めに構えた場合

このようにネックを高めに設定することで縦に指が使いやすくなり左手が楽になるはずです。

最近ではこういったフォームが人気になりつつありますが、立てすぎると右手が弾きにくくなる可能性があるので自分がやりやすいバランスを見つけましょう。

④ どうしても届かないときの解決策

(1) 運指を変える

上記のようにポジション移動や異弦同音を使うことで運指を変えましょう。

(2) アレンジを変える

曲はアレンジによって大きく難易度が変わります。

弾けないときはカポタストを使ってキーを変えたり、一部音を省くことだってできます。難しいまま挑戦するより、弾けるものから取り組んで技術がついてきたら元に戻せばよいでしょう。

ただし、音を減らすときはコードの大事な音を抜いて曲の魅力を失わないようある程度音楽理論を学ぶ必要があります。

(3) 手は使うと大きくなる?

たまたまかもしれませんが、私は左手の方が大きいです。

特に小指はこのとおり写真で見てもはっきり違いがわかるほどで、実際に5mmも長くなっています。

指長(mm)左手右手左右の差
親指57570
人差し指69681
中指78762
薬指74713
小指54495

確実な要因はわかりませんが、ギタリストの仲間にも何人か同じように左手だけ大きい人がいたことから、日頃の練習で指を広げるうちに手が適応して大きくなっていったのではないかと思っています。

⑤ ギターの大きさと種類

ここからはギターのサイズの違いについて見ていきましょう。小さめのギターを使うことで解決する問題もあるはずです。

(1) ギターの基本的なサイズ

ギターのサイズはナットからブリッジまでの弦長を測ります。このときボディの大きさやシェイプは関係ありません。

a:クラシックギター・アコースティックギター

650mmのものが基本となっていますが、最近では640mmや630mmのものも出ています。

b:エレキギター

タイプによって弦長が異なります。

  • ロングスケール(ストラトキャスターなど)…648mm
  • ミディアムスケール(レスポールなど)…628mm
  • ショートスケール(ムスタングなど)…609mm

(2) 小さいギターと使用時の注意

弦長の短いギターを使うときは注意すべき点が3つあります。

a:音量が出しにくい

弦長が短くなると、弦の張りが弱くなるため音量も減少すると言われています。

b:弦と弦の幅は変わらない

弦長が短くなっても弦同士の幅は変わらないため、フレットの縦横の比率が変わります。すると演奏時の感覚も変わるため、慣れてしまうと通常サイズが弾きにくく感じてしまう場合もあります。

c:音程が不安定になりやすい

ギターは弦自体が伸びたり、巻きつけているペグに隙間があったりと様々な要因が音程に影響します。小さいギターは弦長が短い分、全体として受ける誤差の割合が大きくなります。

(3) 小学校高学年からは大人用ギターで

小さい子だと子供用と大人用のどちらを買うべきかよくご相談頂きます。

体格にもよりますが、経験上小学校高学年~中学生ぐらいになると通常サイズのギターでも弾けるようになってきます。

お子様の場合、現時点で少々大きく感じてもギターのサイズによって多少弾き心地が変わるため、身体の成長を見越して大人用を選ぶ方がいい場合もあります。このあたりは個人差があり、非常に判断が難しいのでできるだけ詳しい方か専門家に相談してから決めるのをお勧めします。

まとめ

結局音楽で大切なのは完璧な演奏を目指すことではなく楽しんで弾くこと。手の大きさなどはその中の些末な一要素に過ぎません。

それよりも自分のペースでコツコツと学び、今までできなかったことがだんだんとできるようなる。私はその達成感こそが学習の本質だと信じています。理由をつけて諦めてしまう前にまずはチャレンジです。一緒に頑張りましょう。

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この記事を書いた人

小田急線 読売ランド前駅徒歩5分の音楽教室。
ギター・ウクレレ・ベース・ボーカルのレッスンを受講いただけます。
オンラインレッスン完全対応。体験レッスン受付中。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • こんばんは、突然ですが昔からギター弾きたくて仕方ありません!!!でもお前の指の短さじゃ無理だ!!!と…でも年を重ねてもっと弾きたくなって…弾きたいです!!!なんとか弾きたいです!!!

    • 酒井さま

      この度はコメントありがとうございます!
      さわの Guitar Lab.でギター講師をしております澤野裕基と申します。

      まずはその熱いお気持ち本当に素敵だと思います!
      手の大きさに関しましてはこちらの記事にも一部書きましたが、テクニックや工夫次第で克服できることも多いのでまずはチャレンジしていただくことが大切かなと思います。
      ギターは奥の深い楽器ですので上達していく過程で味わう苦労もありますが、その分弾けた時の喜びも大きく、最高の趣味になってくれるはずです。

      もししっかり学んでみたいということでしたら、無料の体験レッスンにお申し込みいただければと思います。全く始めての方でも基礎から丁寧に指導させていただきます。
      オンラインでも受講いただけますのでこの機会にぜひご検討ください!

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