ギターのFコードを確実に攻略するためのコツと3つの練習手順

Fコードを押えた手
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Fコード。ギターを始めようと思った数多くの方がこの強敵に苦しめられたのではないでしょうか。かの偉大なギタリスト、エリック・クラプトンでさえ「Fコードは苦手だ。」と言ったとされています。難易度が高い上に大抵の曲で使われているので、ここがクリアできずギターの練習自体を諦めてしまう方も多いようです。

しかし僕もギター教室の講師としてみなさんにここで挫折させぬよう、着実な練習の手順を確立させてきました。Fコードは確かに難しいですが、正しい順序でひとつずつコツを掴んでいけば、手の大きさや握力の強さに関わらずきちんと音が鳴らせるようになります。

今回はそんなFコードの練習手順と気をつけるべきポイントを書いていきますので、これから練習する方はぜひ参考にしてみてください。また簡単にではありますが、セーハのコツやコードの知識など普段の練習にも役に立つポイントを紹介していきます。左手の技術でお悩みの方も読んで頂けたらと思います。

目次

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ギターのFコードは自分で簡単にする

では早速その攻略法についてみていきたいと思いますが、結論から言ってしまうと省略形から練習し、徐々に本来の形に近づけていくことが一番です。

どういうことかというと、みなさんが良く目にするあの6弦全てを押さえる形のFコード。こちらは初心者の方がいきなり練習するには少々難しすぎます。単音のメロディーだって正しいフォームで弾こうとすればそれなりに時間がかかるのに、ましてやそれを6本、全てきちんと鳴らせるようにするというのは簡単なことではありません。頑張ってチャレンジしたところで音がなかなか出ずに「ギターって難しいんだ」と、せっかく始めたギターが楽しめなくなってしまう可能性すらあります。

しかし、よく考えてみてください。本来コードとは特定の音の組み合わせを示す言葉であり、この形で押さえなければいけないという決まりはありません。どんな形であれその音を含んでさえいれば同じ名前のついたコードができあがります。

つまり、コードというのは音の内容さえあっていれば自分なりに押さえやすいよう形を変えてしまっても構わないということです。

もちろんあの形がよく使われるのには、技術上のさまざまな利点があるからです。しかし、そこに向かって闇雲に練習するのではなくコードの本質を理解し、はじめは簡単な形から、そしてだんだんと本格的な形に近づけていくことで一歩ずつ着実に習得へ向かいます。

もし今あなたがFコードが鳴らせなくてお悩みでしたら、諦めてしまう前に以下の手順を踏んで改めて練習に臨んでみてください。

Fコードを習得する3ステップ

Fコードは以下の3ステップで練習することで着実に音が出せるようになっていきます。

Fコード攻略の3ステップ全体の流れ

練習はただ弾くだけでなく、工夫すること、考えることがとても大切です。そのためにはコードそのものの構造を理解し、一度簡単な形に分解できるようにする必要があります。ここでは省略形を作る上で必要最低限の知識についてみてみましょう。

コードの構造を知る

まずコードを理解するためにはその基準となるrootという音について学びましょう。

rootとは

rootとはコードの土台として全体を支え、サウンドの性格を決定づける最も重要な音です。このroot、実はコードネームに含まれており、最初のアルファベットをそのまま音階として読んだもののことを指します。

当たり前のようですがFメジャーというコードではFがrootということです。ではこのFとはいったいなんなのか。これを理解するために次は音階の読み方を覚えましょう。

音階の読み方

音階にはさまざまな読み方がありますが、最低限よく使うイタリア語・英語・日本語の3パターンは読めるようにしてしまうと便利です。

こちらに表でまとめましたので参考にしてください。

本来ドレミファソラシドというのはイタリア語です。歌を歌ったりするときなどであれば普段使い慣れたドレミでもいいのですが、コードネームは英語読みが基本ですので頭の中でパッと変換できるようにしておきましょう。

この表を見れば今回のrootであるFがファのこと指していることが簡単にわかると思います。それではこのほかコードを構成する残りの音を確認してみましょう。

3和音と音程

和音をつくるにはいくつ音を重ねてもいいのですが、響きを特徴づける重要な3つの音だけを組み合わせたものを3和音と呼び、コードの基本形となっています。

そしてこの重要な音というのは1度(root)・3度・5度のことです。「度」という言葉ははじめて耳にする方も多いかもしれませんがこれは音程の単位で、その音を含めいくつ離れているかを表しています。つまり音程とは「音と音の距離」という意味。よくこれを「音の高さ」と勘違いしてしまっている方が多いので注意して覚えましょう。

音程 = 音と音の距離

それではこの3つをFコードに当てはめてみてみましょう。

ここまでで今回のFコードの構成音(コードトーン)はファ・ラ・ドの3つであることがわかりました。つまり6本の弦全て押さえずともこの3つさえ押さえられればどんな形でもFの響きが作れるということです。

それではこちらを実際にギターで練習していきます。

簡単な形のFコードから練習する

Fコードを攻略するための練習の2段階目

4弦ルートのFコードを作る

最終的に目指す一般的はFコードの形はこちらになります。

こちらを見ると重複した音が含まれていますのでこの形から先程の解説したとおり必要なファ・ラ・ドの3つだけを抜き出します。いくつかパターンが考えられますが、その中でも最も押さえやすいのはこちらです。

2,3,4弦のみのFコードです

4弦3F(フレット)のファ、3弦2Fのラ、2弦1Fのドの3つです。

コードの転回形

コードを作るうえで大事なルールとして、rootは必ず一番下に置くということを覚えておきましょう。rootはコードの土台となる音と書きましたが、言葉の意味通り一番下にrootを配置することでそのコード感をより色濃く出すことができます。

もし音の順番が入れ替わりroot以外のコードトーンのが一番下に来ている場合、コードの転回形と呼び、F/Aなど分数コードと呼ばれる形で表します。

1弦1フレットのF音を加える

これで最もシンプルなFコードができました。しかしこの形、実はあんまり実用的ではありません。なぜならこれでは1弦を弾くことができないので、2,3,4弦のみを狙ってストロークするか、ミュートをして余計な音まで弾かないようしなくてはいけません。そのためにも1弦のファも加え、右手を4弦から1弦まで振り抜ける形にしましょう。

こうすると押さえる部分は増えますが、右手は弾く弦を選ばずに腕を振り抜くことができるようになります。この形がFコードの練習すべき1つ目の形となります。それでは実際の押さえ方や練習のポイントを見ていきましょう。

セーハの練習

注目すべきはやはり1弦2弦を左手人差し指で同時に押さえる点です。この複数の弦を同時に押さえることをセーハといい、特定の数本だけ押さえるのを小セーハ、6本全て押さえるのを大セーハや全弦セーハなどと呼びます。

ここでの小セーハは人差し指の第一関節を逆に曲げ、塩をつまむときのような形をつくります。そして指の腹をぺったりと弦に乗せ、真上から均等に力を加えるときれいに2本押さえられるはずです。そしてこの2つの音がしっかり出せるようになったら次に中指と薬指の2本を加えます。この2本は人差し指とは違い、指を立てて先端で弦を捉えるようにします。指が寝てしまうと隣の弦に触れ、音を止めてしまう原因となりますので注意しましょう。

1,2弦の小セーハです

第一関節を曲げ、指を寝かせる

注意点

  • 人差し指の第一関節が柔らかく逆に曲がっていること
  • 手首がひっこんでいないこと
  • 手のひらをネックから離れすぎていないこと

そもそもこの形のFコードが鳴らない原因のほとんどが

  1. 押さえた指が他の弦に触れてしまっている
  2. そもそもセーハが押さえられていない

の2つです。特に押さえる力が足りないと勘違いし、指先が力んでしまう方が多いように感じます。すると人差し指が反らずに浮いてしまうのでますます音が出なくなります。

また、今までレッスンする中で半数以上の方が指が他の弦に触れて音を止めてしまっているということに気づいていませんでした。感覚を信じすぎるのではなくまずは一度、一本ずつ弦を弾いてどこが鳴ってないのか確認するようにしましょう。

あとは手のひらから見て指の左側で押さえている点も重要です。指の真ん中で押さえるよりある程度硬さがあり、力を加えやすいはずです。中心で押さえなきゃいけないということはないのでここも注意しましょう。

6弦ルートの形で練習する

Fコードを攻略するための練習の3段階目

全弦セーハの練習

それではいよいよ全弦を押さえるセーハの練習をします。だいぶ形になってきていますがゴールまでにもう少し段階を踏む必要があります。

今度は人差し指を伸ばし、付け根のあたりで1,2弦を押さえてみましょう。

この時他の弦は無視して大丈夫ですので、まずはこの2本を鳴らすことだけに集中してみてください。しばらくやってみて音が出るようであれば中指と薬指も加え4弦まで押えます。要するにこれは全弦をセーハしつつ、先ほどまでの4弦rootのFコードを押さえているということになります。

4弦ルートのFコードを人差し指の付け根でセーハした形です

人差し指の先が5,6弦に触れてミュートもできるので、すべての弦を思いっきりストロークでき、より実践的な形と言えます。指の付け根の部分は力を入れやすいので意外と難しくは感じないと思います。

小指を加える

少しずつ変化をつけていきます。次に薬指を5弦3Fに移動し、小指を4弦3Fに加えます。他の指が動かないようにそっと動かしてみてください。

ここでもしうまくいかないようなら、一度指を離し、人差し指以外の3本から押さえてみるのも一つの手です。人間の指の中で人差し指は圧倒的に器用な指なのでセーハは意外とほっといてもなんとかなります。それに比べ、薬指や小指のほうがうまく動かず、全体のバランスを崩してしまっていることも多いのでそちらを優先させてあげると音が鳴りやすいと思います。

6弦もセーハして完成

あとは人差し指で6弦も押えるだけです。3,4,5弦は他の指が押さえているため、実質人差し指が押さえる弦は1,2,6弦の3本のみということです。

ひとつ前の形が押さえられていれば問題ないと思いますが、もしまだ音が出なければ

  • セーハの指が曲がっていないか
  • フレットの近くを押さえられているか
  • 関節の溝に弦がはまってしまっていないか

などを確認してみてください。

以上がギターでFコードを攻略するための練習手順となりますが、ここまでやってだめなら楽器に原因がある場合があります。

  • 身体のサイズに合っていないものではないか
  • 弦高が高すぎないか
  • ネックが沿ってしまっていないか
  • 弦のテンションは固すぎないか

などいろいろ確認すべきポイントがあります。長年悩んでいたことが少し弦高を下げたり、弦の種類を変えるだけであっという間に解決してしまうこともありますので、楽器に関してはぜひ一度専門家や楽器屋さんに相談してみてください。

最後に

ギターは簡単に移調ができることがコード楽器としての魅力です。Fのコードは1フレット右にずらせばF#、更にもう1フレットずらせばGとなり一度覚えた形は他のコードでも使えます。そのため今回頑張ってFコードを弾けるようになったことで、フレットの数だけのコードが覚えられたと思えば大きな収穫だったということが実感できるのではないでしょうか。

ギターはアナログな楽器なため、何かできないことがあればそこには必ず物理的な原因があります。問題点を冷静に見つけ、一つずつ丁寧に直していけば確実に弾ける日はやってきます。ゆっくりと自分の技術や楽器と向き合って考えてみてください。

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この記事を書いた人

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